2019/11/14 15:26




デザインが好きな方でしたら、一度はBAUHAUS(バウハウス)という言葉をお聞きになったことがあると思います。
でも、バウハウスとはいったい何でしょうか。
ブランドなのか、会社なのか、よくわからないという方もおられるかもしれません。


バウハウスとは、学校の名前です。
1919年にドイツ・ヴァイマールに設立されました。
美術や工芸、建築などを教育と実技によって教える学校です。
今年、バウハウスは100周年を迎えました。


バウハウスという言葉には、ドイツ語で『建築の家』という意味があります。
その名の通り、この学校では建築が重視されていました。
「あらゆる造形活動の最終目標は、建築である」と初代校長ヴォルター・グロピウスは『バウハウス宣言書』の冒頭で述べています。
実際、バウハウスの歴代校長であるヴォルター・グロピウスとミース・ファン・デル・ローエは、モダニズム建築の四大巨匠に数えられています。(残り2人の巨匠は、ル・コルビジェとフランク・ロイド・ライトです)


この学校が設立された当時、ドイツは農業国から工業国へとその姿を変えようとしていました。
同じ時期、産業革命の結果として世に多く出回るようになった粗悪な大量生産品に反対する動きがイギリスで起こっていました。
壁紙などで有名なウィリアム・モリスらによる『アーツ&クラフツ運動』です。
この運動では、中世の芸術的な手仕事に回帰し、生活の質を向上させることが主張されました。
この運動の影響はドイツにも広がっていきます。


バウハウスでは、工業製品の質を向上させるために、標準となる『型』を作り上げることに努力が傾けられました。
美しく、機能的で、工業生産性と経済性を考慮したデザインの『型』を定めようとしたのです。


『アーツ&クラフツ運動』やバウハウスの存在は、今でもとても興味深いものです。
現在、大量生産によってデザイン性の高い安価な商品が簡単に手に入るにもかかわらず、Etsyや他のハンドメイドECサイトのクリエイティブな商品に一定のニーズがあります。
この現状を”バウハウスの時代のムーブメント”と比較して考える時、ニッチなニーズに応えるデザインの家具を作りたいと思っている私のようなものは励みを得ています。


さて、バウハウスは名作家具を数多く残しています。
バウハウスの生徒であり、後にバウハウスで教えたマルセル・ブロイヤーの『ワシリーチェア』や『チェスカチェア』、3代目校長だったミース・ファン・デル・ローエの『バルセロナチェア』や『MR10』などは、名作チェアとして知られています。
そして、この『チェスカチェア』や『MR10』に用いられている構造が、片側の脚がないカンチレバーです。






poechのサイドテーブル『pinch』も、カンチレバー構造です。
バウハウスのカンチレバーチェアには主にスチールパイプが用いられていますが、poechは木で製作しました。
脚部に三角形の合板を挟んで、強度を出しています。
三角形と面の力でしっかりと荷重を支えます。
構造ゆえのユニークな形も『pinch』の魅力の一つです。


今後、同じ構造を用いて椅子などを商品化する予定です(プロトタイプは製作済みです)。
この『pinch』シリーズが、少しでも皆様の生活のお役に立てば幸いです。


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poech(ポエック)

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